2013年10月12日

物語としてのACー3

アルコールが薄れて、せき止められていたファンタジーが覚醒してくる。アンプを通したように心臓の音が響く。このままじっとしていると侵されてしまいそうだ。このまま闇夜にとけてしまいたい。このまま意識のない世界に枯れ葉のように落ちていけたらどんなに楽だろう。心臓が破裂して大量の血がこの部屋中に音を立てて流れ込んでいく。フィルムムービーのような夢が目の裏側をくりかえし走っていく。
悲しみが夜の霧のようにぼくをつつむ。君がつく,小さなそしてとても器用で優雅なウソが,ぼくのひらいたこころを血であふれさせる。
間違いなんかなかったんだ。
きっと,気がつくまで誰にもわからないんだ。
心臓だけが知っている。
誘惑の分だけ,楽しんでいるふりをしてきた。
けれど,何一つ満足に熱中できないでいる。
ぼくには何もない。
どれだけのことをイメージしても。
紙を埋められない文字が張り裂けそうな心臓を、圧迫しつづける。
たまりにたまったその満たされないイメージは
ぼくを眠れなくする。
腹がこわばり
髪が抜けて
胃が痛み
ヒフが荒れ
喘息が起き,
つまらないケガを何度もしてひどい気分を味わうことになる。
そうなんだひどい気分なんだ。

「どこに行ってたのよ?」
言葉を選んだていねいなノイズが聞こえる。電話線の距離にイライラしている。ラインが凍りついている。電車が来なくてイライラしている。タクシーが止まらない。言葉がまだるっこしい。気持ならはっきりしている。どうしていま君はここにいない。ノイズが切れる。
すぐにベルが鳴る。アルコールのゆりかごで体はすっぽりとイカレテいる。もう受話器を取れない。テープのメッセージがしゃべる。
取引と交換と売買。それ以外の言葉が見つからないし信じることができない。ナイフを置くことができない。
これで終わった。ポストに鍵を入れずに出かける。やっぱりこんな日も暑く天気が良い。これで終わった。偽りが偽りの時間を作り出す。そんな気分はほんとうのものじゃない。けんかしたんじゃない,
そう,いやけがさしたんだ。
posted by usaikuo at 09:11| 日記