2015年12月16日

私はウルトラマンでなくていいのだ。

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具体的に、ひとつづつで十分と知った。
足るを知り身の程プロセスをわきまえて,むやみに野心を持たない。

私はウルトラマンでなくていいのだ。
私の求めているものは
私の中の感覚・感情に既に在る
身体感覚が入り口である。




posted by usaikuo at 09:00| 日記

2015年11月03日

雨上がりの海、低気圧通過後の波、休日のサーファーたち

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・・・雨上がりの海、低気圧通過後の波、休日のサーファーたち
ビーチを散歩して、テトラで遠くのうねりを見る

シャワーを浴びると気持ち良い
この気持ち良いと感じる、身体感覚をかんたんに忘れている自分に気づく

人間理解と他者への同情や穴を埋めることにかまうのではなく
私のスキーとサーフのスケジュール、道具、旅行プラン、
そしてそれらにふさわしい音楽、アートをかまおうと知った。

セラピストではなく、ただの52歳のクリエイティブな男性であること
相手の反応を気にせず、自己表現をする場が必要であると気がついた。




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2014年11月14日

12 アダルト・チルドレンの気づき

父性に褒めてもらいたかったのだ。
母性に抱かれたかったのだ。
それらのことに無自覚であったために、無意識の領域から発動する強力な「力」でぼくは、ここまできたと知った。

命が、無自覚なぼくに知らしめるために心身に痛みを発していた。

いま、ここで、私は多くのものを成し遂げてきたと知った。この孤独な暮らしは、ぼく自身が望んでいたもので、ぼく自身になり、ぼく自身を癒すものであると言える。

父はどんなぼくを褒めるだろう?
ぼくの内なる父は、いま、どんなぼくを褒めるだろう?
病気を克服してきた道のり
学び続けている道のり
経済的な営み
ぼくらしい職業に就いている道のり
まず、ぼくがこれらをもっと受け取り愛することと知った。







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2014年01月11日

物語としてのAC-11

サラリーマンの時、仕事が遅くて午後8時30分を回っても机にへばりついている隣の課の女子を思いだした。
同僚が手伝いを申し出ても。大丈夫大丈夫を繰り返していた。(顔はおもいだせないが机に突っ伏している痩せた肩を思い出した。

ーー

窓をむいたまま何も話さないサディにバイバイも言わないで、こどものような気分で病室を出た。なつかしような泣きたくなるような病院臭にまとわりつかれていた。こんな時に、打ち合わせするから来いという元上司、いまは発注元からの留守電があれば、いくところとやることがとりあえずあって救われるが、「おあずかりしているメッセージはありません」。

やりかけの企画書だかなんだかはあるが、お決まりの予定調和的な文脈にうんざりしていて、いまそっちの気分じゃなくそんなもの書けない。サーバーのスペックが上がって、仕事が早くなるだと?だからなんなんだ。

大きめの本屋に入って、ビジネス新刊コーナーを見て、ライフスタイル雑誌コーナーを見て、人生やらなにやらのコーナーを見て、いつもと同じ本があるのを確認するのを小一時間使って安心して、ジムに向かった。

ーー


シブヤで汗を流したあとまっすぐ電車に乗って地元に戻ってきたが,落ち着かずゲンを呼び出した。

「おまえその女やばくねえか?」
「ショーや」でゲンが言った。

「どっか具合悪いんだと思う」ぼくはゲンのコップにビールを注いで言った。

平日のショーや7時はがらがらで店員は手持ち無沙汰でテーブルの上のメニューの角を整えたり,灰皿の位置を治したりしていた。まだ客がいないが準備ができているという店内の雰囲気が気に入っていた。

「普通,なんか言うだろうそんなことがあったんなら」
「難病とかだったりして」

「電話とかメールとかないのか?」
「たぶん、病院で携帯繋がらないんだ」

ゲンは眉をしかめている。

「子どもがいるみたいなんだ」
「え?」ゲンがこんどは口をあけたまま言った。

ぼくは自分のコップにビールを注いでゲンの視線をごまかした。琥珀の液体は冷たくのどに気持ち良かった。

「子ども?」

救急車に載せられて血液型と誕生日を聞かれたけどわかんなくて,ジムバックを開けたんだ。母子手帳があった。

ゲンはホッケにマヨネーズを付けている。
「ということはだんなもいるんじゃねえのか?」

「わかんないけど,そうだろう」

「おまえ、はめらたんじゃないか?」

ゲンはあーあといういちれんの動作をしてばかだねぇと言った。

「救急車なんかのっちゃって、だんなにぼくのこととかばれてもめてんのかな?」

「だっておまえ知らなかったんだろ?」
ぼくは小さくうなずいた。

「じゃあなんも関係ないだろ」
ゲンはなんだよかったよかったとあごを突き出してなんどがうなづくとビールのおかわりと川えびのから揚げを店員に頼んだ。

ぼくは,彼女の寂しそうな顔とか,時々,激しく感情をぼくにぶつけてくる時があるとは言わなかった。彼女がぼくと寝たがったんだと。

ぼくは彼女のことを何も知らなかった。どこで生まれたとか,どんな少女時代だったか。ぼくはセックスをすることで彼女を助けたいと思っていたのかも知れない。
でもおまえはいったい彼女を何から助けるのだ。

ぼくはこっちをゲンにいうべきなんじゃないか。
ゲンは言ってくれるだろう。

おまえさあ、ただやりたかったんだろう?
よかったじゃん。

ゲンにそう言われたかった。
posted by usaikuo at 11:49| Comment(0) | 日記

2014年01月10日

物語としてのAC-10

コピーライブの後のやり切れなさを認めあえないで、酔ってごまかして、
そのうちごまかしきれなくなって、
ばかばかしいことで言い合いをはじめてとまらず、胸ぐらを掴んで、テーブルのコップをひっくり返して、となりの席のおっさんに、おーやれやれとけしかけられ、おしあってそのうちに吐いて、ぐちゃぐちゃな夜になる前に、
シブヤにむかった。

サディはまだジムにいた。

遅れたぼくの顔もみずに、バックを肩にかけると歩き出した。

ーー

酎ハイ3杯目の走り出しのアルコールの霧の中で自分の名前を呼ぶ声が響いた。
それはなつかしい感じがした。僕の名前なのか?

見知らぬ女性がぼくの名前を呼んでいるのに気がつくのにしばらくかかった。
ぼくが振り向いて彼女と目を合わせると混みあった居酒屋のテーブルの間を器用に走って近づいてきた。
「あの、お連さんが、トイレで、あの、たおれてます・・・」

救急車を降りて半分だけ明かりの点いた待合室にいた。いま眠りましたから病室に移しますのでと当直の看護士に言われて始発でアパートに帰った。ぐだぐだに混乱して酔もさめずふらついたままシャワーを浴びて、
ぼくは部屋においてあった彼女のナイキのジムバックを持って、病院にもどった。
清潔な朝と通勤の人々に、心底腹がたった。

朝食のトレイが下げられても大部屋にはスープの残り香と、宿命的な排泄物のにおいが入り混じっていた。時折,カーテンの向こうからのゲホケホという渇いた音が聞こえた。この臭いと共にぶよぶよと漂い,点滴のチューブの中を通って血液に混じり排泄され流されたら楽だなと思った。
サディの白い左腕に繋がれたチューブはスタンドにかけられたビニールの液体をぽたぽたと通している。サディは窓の外を見てこちらを見ていない。階下では外来へ行き交う人々が小さく見える。初夏のまじりけのない鋭角な光が白い布団に刺している。
たとえそれが病院であっても何かを終えて帰る場所があるというのはうらやましく思えた。

彼女は昨晩シブヤにいたままだった。赤のサマーニットにジーパンをはいたままベットに横になって窓を見ていた。

「着替えろよ」

彼女はジムバックから白いTシャツと黒のスエットを引っ張り出すと布団の中でごそごそ着替えた。点滴のチューブをいったんはずすのに看護士を呼んだ。

サディはゴムで髪をうしろにしばるとはじめてぼくを見て
「ありがと」と小さな声で言った。

そして肩まで布団をかけて横になるとまた窓を向いた。

サディはスタイルがよかったし,週に5日ワークアウトしているにしても病院の布団にくるんでしまうとそれはなんの意味もないことのように思えた。




posted by usaikuo at 11:57| Comment(0) | 日記

2013年10月16日

物語としてのAC-9

まったく眠れない日がある。まどろみそうになると怒りを感じてはっとなる。不安なわけではない。やっとのことで忍び込んだ夢のなかで、何かをたたきつけ、叫んで。思考が貪欲にアイディアを検索し続けている。見つかったとしてもそれらはどれも、実現されることはなく、欲求不満として蓄積されていく。
それらはおわりのないループ。止めるにはその必要性を無力にしてしまうことだと知っている。純粋なアイディアはノートに書いて手放す。
湧いてきたものにはそれなりの意味があると認め、生き残ってきた事実とその過程を味わいかみしめてみることだと知っている。
一睡もできずにやってくる朝はバカバカしい。

自腹のライブは散々だった。酔っ払った客は大騒ぎしていたけど、ぼくには彼らが何を気に入っていたのかわからなくて拍手も歓声も受け取れない。アサノがやたらストーンズのコピーをやりたがる。うれしいのかよ。知っている曲はまわりがのるからのる。ただ、いい年をしたおっさんがコピー曲を演る。どこにもいけない。あほくさくなってきた。気持ちの無駄遣いだ。だらだらと楽屋にもどる。壊れたアンプ、落書きだらけの壁,パイプ椅子,なにも話したくない到達感。でもぼくらは,壁をけったり,ビールの空き缶を投げつけたりしない。髪をつかんでなぐりあったりもしない。そんなに若くない。それだけにムードはいっそうわるい。サラリーマン時代の会議のようだ。ポジション的に、最初に口を開くのはぼくの役目なのだが,今日はほとほとぼくも参っていた。ギターのネックが汗で濡れていた。弦がいやなにおいをはなっている。べっとり甘いコーラが飲みたかった。汗をかいているのに気分がわるい最低な気分だ。地下だからメールは入らない。サディがシブヤで待っている。
「おいおまえらアンコールだよ,もう一曲やれよ」
金髪で左耳のピアス3つの支配人が催促にきた。
「・・・さっさとやってこいよ。客がかえっちまうだろ」
ぼくらはそれぞれじっさい金が必要だった。
ライトが着く前にドラムのネモが走りだした。
ぼくらはチューニングも直さずにやった。じっさいひどいライブだった。

U2聞いてると死にたくなるんだ。
「は?」
「背筋がぞっとするんだ。どうしてこんな曲書けるんだって」
めずらしくその晩は全員そろった。店の奥のスピーカーでボブディランが、低くがさがさと唄っている。
「日本じゃこんなアコースティックの音,でねえよ、弦がちがうよ、空気が乾いているんだよ」
ネモが言った。
「かわいてねーよ」
「へんなブルースハープだよな」
「へんじゃねーよ」
ベースのゲンとネモはビールも来ないうちにはじめてる。
ゲンは一人でアコギで唄っていたことがある。フォークといわれている時代を知っているが本人はロックだといいはっている。
「もうさ流行ちっくな曲やめようぜ。」
ゲンはタバコに火をつけながら言った。
「ああ」
ぼくはお通しのナッツをかじった。がりがりと口の中でかんたんにくだけた。ゲンは、おまえが曲をつくれと言った。
「詩もさおまえ書けよ。おれ,おまえの詩好きだぜ」
posted by usaikuo at 18:28| 日記

物語としてのACー8

「バンドやりたいんだ」
「でた!」
サディが間髪いれずに言った。
「売れなくていいからさライブハウスとかでやりたいんだ」
サディはひややっこの薬味のしょうがを落とさないよう慎重に口に入れた。しばらくぼくを見ていた。
「できそうな気がするんだ」
サディは,はいはいという目つきで、から揚げにくさび型のレモンを絞った。
「売れなくていい?」
「うん」
「ばかじゃない」
彼女は女友達のところに男が転がり込んでいるが、そいつは自称バンドやってますという男で、自分のアパートの家賃を滞納していて部屋に帰れず売れなくていいと毎日昼過ぎまで寝ていると言った。
ぼくはそんなことしないと言った。

「じゃやればいいじゃない」
サディはそう言ってクールに火をつけた。
煙からは一瞬香ばしいにおいがしたがすぐにいやなにおいに変わった。天井のスピーカーからぼくのいちばん嫌いなタイプの曲が聞こえている。まとまっていて無意味に音が厚くて無反省に前向きな詩が子どもの声で唄われている。こんな曲を誰が必要としているんだ?店内を見渡しても誰もそのことを考えているように見えなかった。こういう場所に流されるようにつくられているのだろう。ニーズがあって消費されるのは意味のあることだ。売れているのだ。女のアパートに転がり込んでふて寝している男とは、ニーズがなくて消費の対象にならないからなのだろう。

「親父に,おまえに音楽の才能はない」と怒鳴られたことがあるんだ。とぼくは言った。
「それ,前も聞いた」
サディは生ビールのジョッキを両手で持ったままぼくの目を見て言った。
今では,仕事を終えて最初の一杯を飲みに来たネクタイの男たちで混みあっていた。ふろあがりで大きなジムバックを脇においたぼくらはもうできあがっていた。紺色のスーツの男たちを見ながら,あんたらとは違うんだ体調が整っていて準備ができているんだ、というくだらない優越感で銀行口座に来月の家賃分の現金がなく,仕事依頼のケイタイも鳴らないあせりをごまかした。

サディは,やれやればかじゃないという目をしてぼくと紺のスーツの男たちを交互に眺めていた。あいつらいいよなボーナスがもらえるんだとぼくが言うと,サディは、きょうは帰るといってすたすたとジェイアールに向かって歩いて行った。ぼくは捨てられた幼児のような気分でひどく落ち込んだ。
posted by usaikuo at 08:54| 日記

2013年10月15日

物語としてのAC-7

ビールと酎ハイとウイスキーソーダで自分が誰か分からなくなりたい。でも,いつも最初から自分がだれか分からなかった。気が着くと居酒屋の薄暗いトイレの鏡を覗きこんでいてどうして自分が今ここにいるのかわからず苦笑していた。落書きに囲まれてぼくの声は鼻に虫が入った犬のくしゃみのような音がして狭い箱の中に響いた。シブヤに来たのは何時ごろだっけ?今日は何曜日だ?会社はどうした?やめたんだっけ。でもまだ,自分が今どこにいてどうやったらアパートの部屋まで帰れるかを思いだせた。

外の空気を吸おうと階段を登り扉を出て顔をあげると正面にキャバクラの黄色のネオン,その隣の焼肉やの煙で汚れた看板,真っ赤な顔で大声をあげているねずみ色のコートのオヤジたち,あさっての方向を見て携帯で話すスーツの男,ひらひらした洋服を重ねて着ている目の周りが黒い女子たちがスローモーションのように流れた。井の頭線のレールがきしむ大きな音がしびれた後頭部に響く。誰も自分に興味がなく流れる映像を見ているのは居心地が良くしばらくそうしていた。

身なりのきちんとした大学生らが5〜6人奇声を上げていた。何ができて何ができないかを知らずに生きて行くことはむずかしいがそれを知るには自分を知らなくてはならないのではないか。田舎から出て来てシブヤで酔っ払ってはじめて自分は人間のような気がしたのはもう20年も前のことなのだ。3月のセンター街には雪や泥はなくピンクや緑のアイスクリームが売っていたことに驚いたし女子のスカートの下には白い生足が見えていたことに興奮した。あの頃は簡単だった100円のレモンサワーを3杯一気飲みすれば完璧だった。
posted by usaikuo at 10:04| 日記

物語としてのAC-6

「何聞いてているの?」
「ストリートスライダース」
「何それ?」
「かっこいいよ」
ぼくはサディに片方のイヤホンをあずけた。彼女はしばらくイヤホンを疑わしげに見つめてから左耳に入れた。
昼過ぎまでぼくのアパートで寝てセックスをした。同情のような味がした。サディはしばらくぼくの胸に唇をつけたままで目を閉じていた。
そのあとぎゃあぎゃあとお互いの平日さぼりの罪悪感をせめあってデニーズでコーヒーを飲んだ。
夕方,シブヤに向かう電車はすいていて、正面に座っている6人中5人がケイタイの画面を見ていた。
サディがイヤホンをはずして言った。
「なんかうるさくて怒ってて。さみしい詩だわ」
「飲みたくなるだろ?」
ぼくはうるさくしたくて怒りたくてさみしかった。どうしたらこの気分を消化できるのか全然わからなくて,サディに知られないように唇を強く噛んだ。流れる風景にはオレンジの夕日がのびていた。あの家々にはそれぞれ男と女がいてセックスしているのだろうか。まともな大人は平日の夕方はしていないかもしれないなと思った。

駅を降りて,ネオンの点き始めたシブヤの無数の人を眺めるとなんだか少し楽になった。駅に急ぐ人通りと逆に歩くのは誰とも違うような気がした。下水と排気ガスのにおいにまじって、サクラのにおいがしたような気がしたがそれは。どこかの女子のにおいだった。
左の少し後ろを歩くサディを振り返ると,彼女の茶色の目は何も見てなかった。大型モニターにも大音響の音楽にも何にも関心がない目は群集をさけるために何かどこかを見つめていた。同伴出勤を避けるために無言で少しずれてスポーツクラブのカウンターでチェックインした。

オープンスタジオを通るときに、女子のいりまじったにおいをかいだ。白い照明の下で女子のすけた体に囲まれて爆音のダンスクラスでびしょびしょに汗をかけばとにかく何か忘れて気持ち良く虚勢された気分になるのにうずきを感じてロッカールームに急いだ。90分女子に囲まれて汗を流し、ジャグジーで色とりどりの水着を見て満足すると,信じられないくらい気持ちの良いシャワーを浴びた。

すっかり暗くなってネオンの映える通りを、大舞台のステージを終えた気分で歩き地下の居酒屋で生ビールを飲む頃にはもう怒りたくもさみしくもなかった。でも、その振り子はアルコールがひとだんらくするとやがて戻ってくることは知っていた。
posted by usaikuo at 09:58| 日記

2013年10月13日

物語としてのAC-5

しばらくは自由な感じがしたがすぐに落ち着かなくなった。汗を渋りだしてからではないとビールを飲んではいけないのだと思い込むことにした。スポーツクラブという箱に通い続けた。そこのスタッフは笑顔が張り付いていて,客はこれ見よがしで学芸会のステージのようで,学校の休み時間のような関係ができて、女子をエロイ目線で、自分はそんな気持ちないよと堂々と見ることができたからすごかった。
他者がいて見れて見られていて、自分に向き合うことは必要なく、流れ続ける大音量の音楽で気持ち良く思考を止めて、やらされて、やらされてやってぞうきんのように自分を絞ってあせをかきウエアがびしょびしょになることがこのうえなく快感であった。ストレス解消とかダイエットとか健康のためとかそういう意味を一ミリも思わなかった。ただそうしなければいけない感じがしていた。
シブヤの真ん中で、日の高いうちから水着になり生ぬるいお湯につかっているのは申し訳ないような気分がいいような奇妙なような感じがしていた。汗をかいて風呂に入ってネオンが点いたばかりの街にふらふらともどるのは自分から意識をそらすのに役に立った。水ものまず地下の居酒屋に向かった。
そんな頃サディにあった。
サディは半年ぐらい前から同じ時間帯のジャズスタジオで会釈するようになったのだと思う。線が細くむねが小さめで,均整のとれた手足を使って踊っていた。バレエの経験があるもの特有の足の運びと腹と背中に引き上げがあった。スタジオではずいぶん若そうに見えたが、フロントでウエアではなく私服で化粧をしている姿を見た時,ぼくと同じくらいではないかと思った。去年の12月はじめに、いつもの会釈の後にちょっと間があり,コーヒーでも飲みませんか?とさそってとりあえず駅の方向に歩いたがコーヒーという時間帯でもないですねと地下の居酒屋に入った。
たっぷり汗を流してジャグジーに入ってシャワーを浴びた後の彼女はつやつやとぬれているようで年齢相応に色っぽかった。四角い紙に包まれた低い照明をはさんで向かいに座った時フリージアのシャンプーのにおいがした。もうこの時点でぼくのまけや欲求は明らかなのにそれに気がつかいないふりをして、たわいのない話を続けるのはぼくのくせだ。そしてどっちがほんとうかわからなくなりとことん酔いたくなる。
「コーヒーって感じじゃないわよね」
「運動の後だしね」
「こういうところ良く来るの?」
サディは口を尖らせて上目遣いに天井にたくさんぶさがった灯篭のような電球を見て言った。
「学生のころからね」
彼女はふ〜んとうなずいてピンクのポーチからメンソールの細長いたばこをとりだして吸っていい?と言った。
ぼくはうなずくとまた否認を使って見ていないものとして目の前の映像を無意識下に処理した。運動をしている女の人がたばこを吸うのをみると,彼女たちが自分で自分をいじめているような気がしてしまうのだ。ぼくは勝手に裏切られたような気がしていたがサディのたらこくちびるが色っぽかったのでそれもどうでもよくなった。ぼくは彼女の体の線やむねのふくらみやスリムなスパッツの中を思い浮かべてマスターベーションをしたことがあるのを思い出した。
「やめようと思ってるのよ」
ぼくに何かを見つけてサディが言った。
店内はまだ時間が早くて,お客はまばらだ。カウンターにメガネのおじさんが営業かばんを膝の横においてコップ酒を飲んでいた。おくの座敷には学生の一団がいえーとかおーとかまじすかとかぎゃあぎゃあさわいでいた。なつかしくうらやましい感情が湧いたがいまのぼくにはもう必要のないものだった。
ティーシャツに汗をじんわりかいていた。運動の後はからだに熱をもっている。タンブラーサイズの生ビールを2人とも黙って半分ほど飲んだところで目があって笑って一気に親密になった。
「あ〜おいしい」
「うん,後半戦,水を飲まないで我慢してたからなぁ。この一杯のために運動しているようなもんだなおれ」
彼女がそうよねと笑った時,白いセーターのむねのふくらみが大きくゆれたて,ぼくはセックスがおおおきくうずいた。
posted by usaikuo at 09:01| 日記